撤回

やっぱり自分は人間をやめられない。多くの人と交流し、その楽しさを再認識して、そう思い直すに至った。


今夜は、貸し切りにしたフレンチレストランに職場の若手職員を集めて、若手同士で今月に職場結婚したカップルのお祝い会を開催した。自分はこの会の発起人かつ幹事長として、幹事団を編成し、打合せや連絡等の事前調整を行なったほか、当日の進行も務めた。調整に奔走した甲斐もあり、育休中の女性職員や、東京の機関に出向中の職員も来てくれて、総勢15名の大人数が集まる盛大な会になった。当初は様々なイベントやサプライズを仕組んだ凝った企画にしようと思い描いていたが、若手からの意見も踏まえて、結果的にはケーキカットとプレゼント贈呈だけのシンプルな内容になった。それでも、自分が中心となる企画としては初めて行なうタイプのもので想像がつかない部分も多く、不安もあったのだが、ほかの幹事が実際の準備の大半をやってくれたし、若手の協力体制もあったことから、無事成功させることができた。この中で、ほかの若手と話すことがとても楽しかった。人によってはマジメな硬派な仕事の話もしたし、反対に趣味の自転車やスキーやクレーンゲームの話を熱く語りもした。最初と最後を除いて、ほとんど幹事であることを忘れて、参加者の一人として純粋に楽しんでいた。そんなやりとりを明るい顔で交わす中で、やっぱり自分もまだ人間として生きることは放棄できないなと考え直したのだった。一番嬉しかったのは、主賓の二人から、来年秋に行う結婚式に「友人」として出席してほしいと言われたことだった。職場関係者は呼ばない身内だけの式にも関わらず、自分は呼んでもらえるということが何よりもうれしく、ありがたかった。そんな訳で、人間に対する締観が覆されたため、一昨日の宣言は撤回されたのだった。


とはいえ、自分がほかの人たちと同じような「普通の人間」ではないことは事実なので、人間として生きていくことがひときわ困難を伴うことには変わりない。一昨日の宣言も、精神状態の波が激しく、気分が落ち込みがちなことの表れに他ならない。より素直に自分らしく生きるにはどうすればいいのか。それを模索する日々はこれからも続く。

(30分、携帯)