締め2013

2013年、平成25年が、今日で終わる。大学を卒業し就職した2010年、東日本大震災が発生し部署の異動を経験した2011年、人生初の海外渡航となるドイツでの研修に参加した2012年・・・1年を象徴するような大きな出来事があった過去3年間と比べると、今年はこれといった劇的な変化や事件もない、公私ともに比較的落ち着いた1年だったように思う。もちろん、細かく見ていけば、父が定年を待たずに早期退職して関東に移ったことや、友人と長崎旅行をしたこと、北アルプスグランフォンド(自転車のイベント)に参加したこと、ドイツに行った仲間と2度国内旅行をしたこと、Perfumeのライブに参加したことなど、初めての出来事や家庭環境の変化もいくつかあった。ただ、自分の日常を大きく揺さぶられるようなインパクトを持った出来事はやはりなかった。それは、大きな夢や野望もなく、吉良吉影のようにただ「静かに暮らしたい」と願っている自分にとっては、幸せなことだったのかもしれない。しかし、1年というミクロのスパンで見て幸せだったとしても、人生というマクロのスパンで幸せにつながることであるかといえば、おそらく逆であろう。真の安定とは、不断に成長し続け新たな環境に適応していくことであり、単に一定の状態を保ち続けることではない。逆境に追い込まれ、必死に戦うような状況がないということは、今の自分を変えなくて済んでしまうということであり、自分の成長の機会を失うということである。その延長線上に、自分が望む本当の「静かな生活」は存在しない。昨年までの3年間は、色んな困難や挫折があり、失ったものも多かったが、そこから得たものもまた多くあった。それを考えると、負けない代わりに勝ちもしなかったような今年は、長期的に見て自分の糧になった部分がどれほどあったのかと疑問に感じざるを得ない。大きな困難がない平穏な日常に甘んじてしまっていた、そう括ってしまったとしても間違いではないだろう。少なくとも自分が本気で戦っている姿はそこにはなかった。


とはいえ、1年という長い時を、25才〜26才にかけての一生に一度きりの時代を、「毒にも薬にもならなかった停滞期」というふうに結論付けてしまいたくはない。自己否定ではなく、自己肯定をすること、出来なかったことを数えるのではなく、出来たことを数えることのほうが、自分の気持ちの在り方としてずっと健全だし前向きであるはずだ。だから自分は、こう捉えようと思う。「しっかり休養を取ってエネルギーを蓄えた1年だった」と。これで、来年からの新たな戦いに、全力でぶち当たって行けるぞ、と。そう捉えれば、この1年も決してムダではなかったと思える。気持ちの問題ではあるが、そういうポジティブな認識に立った方が、人生は明るくなるはずだ。


実際、来年は自分にとって大きな転機となる1年になるだろう。自分が職場で個人的にやってきた若手職員の幹事的役回りを、組織化して勉強会に発展させるという動きも具体化しなければならない。結婚についても真剣に考えて実際に動き出さねばいけない時期だと強く認識している。春にロードバイクを買えば、自転車の趣味も本格化するのは間違いないし、バドミントンも昼休みの運動の域を越えて市民大会に参加するくらいに展開して行こうと考えている。それに何より、4月に異動があるのはほぼ確実だし、そこで他の大学機関に転勤になれば、地元を離れることになり生活も仕事も一変する。強い気持ちを持って臨まなくてはならない困難な場面がたくさんあるだろう。自分で選んだ道から逃げ出したくなることもあるかもしれない。そんなとき大事なのは、自分の人生に当事者意識を持って、自らの意思ではっきりと決断を下すことである。自分の身に起こったことを、誰かのせいせず、人に頼り切らず、自分自身の力で解決しなければならない課題として、正面から立ち向かっていくことである。「オレがこの物語の主人公だ」と思って、決して逃げないことである。逃げた先に、自分の求める平穏は存在しない。平穏を得るための戦い、それが自分の人生なのだ。そう強く信じることが、大切だと思っている。


今年は、年の初めに「初心」というスローガンを掲げた。環境に慣れて自分の心が緩むのを戒めるために、原点に立ち返って真剣な気持ちを取り戻そうと思って選んだ言葉だった。また、これに続いて「自覚と責任」という言葉も同列に掲げられた。社会の一員として、自分に与えられた役割を自覚し、その責任を果たすべく努めなければならないという意味を込めた、自分へのメッセージだった。この2つに更に「priority(優先順位)」という言葉をセットにして、来年の自分に向けて贈りたいと思う。自分の人生を自分の力で切り拓くたくましさとしなやかさを得るために、一つ一つ地道に努力を積み重ねてほしい・・・来年の自分にそんな期待を込めて、今年を締めくくることとしたい。

(100分)