陽気

自分が過去に書いたブログって面白いな!・・・と3年半ほど前の記事を読み返して思った。自分は有象無象の膨大な文章をこのブログに蓄積してきたが、それをきちんと読み直すということは実はあまりしていない。基本的には、書くことで頭と心がすっきりして、それで満足なのである。だが時々、既存記事のタイトルとの重複を避けるために、タイトル候補の単語で過去の記事を検索することがあり、そのときに偶然ヒットした記事があった場合は、それを読むことがある。今回であれば「陽気」という言葉が検索ワードで、2010年1月に書かれた「焼肉ロッヂ」というタイトルの記事がヒットした。それは、学生時代のS君との懐かしいやりとりが詳細に描かれた、実に生き生きとした記事で、思いがけず心が当時にタイムスリップしてしまったのだった。面白いと思うのは、だいたい学生時代や就職後初期に書かれた記事だ。当時の瑞々しい感性から生まれた文章というものは、社会人生活に慣れ、変わり映えのしない安定した毎日の中に(意図せざるも)どっぷり身を沈めてしまっている現在の自分にはない、独特の輝きを放っている。そうした輝きを持った珠玉のような記事を読むたび、つくづく思うのは、「書き残しておいて良かった」ということだ。正直言って、書くのはおっくうだし、書いたとしても結果的には優れた記事より間延びした記事になることのほうが圧倒的に多い。しかし、例えほとんどがくだらない記事にしかならなくても、書かないことには絶対に優れた記事は生まれない。また、一見中身のないように思えるバカバカしい記事の中にも、その時その時のリアルな自分の姿というものが確実に映し出されるものだ。それはそれで、過去の自分を切り取った貴重な記録として価値を持つものだと言うことが出来る。どんなに短くても、書きかけであったとしても、書かないよりは書いた方が圧倒的に意味のあることだ。いや意味などなくてもよい。そんなものは、将来の自分が決めればいいこと。今の自分がこのブログにおいてなすべきことは、ただ将来の自分が過去を振り返るときの判断材料となる記録を残すことだけだ。とにかく、自分にとって、書くことは生きた証を残すことである。どんなに面倒でも、頭が働かなくても、ほんの少しでいいから、ここに今日の自分の足跡を残すこと。それが大切であると、過去の記事を読み返してつくづく感じたのだった。


ということで、ずい分と前置きが長くなったが、今日は飲み会があった。財務課と財務OB・OGの飲み会で、前財務課長が平日にも関わらずわざわざつくばから駆け付け参加した。その中で、自分は唯一財務課に一度も在籍したことのない人間だった。自分が呼ばれたのは、前財務課長と懇意にしていたからという理由で、実際に前課長が転勤した後もスキーでしばしば会っていたので、お世話になっていることには間違いなかったが、それでもちょっと落ち着かない気分だったのも事実だった。ただ、逆に考えれば、これは他課の人と仲良くするチャンスでもあるわけだ。そう捉えて、普段じっくり話すことの少ない人たちと会話をするように心がけた。主賓である前課長とは月末にも会うことになっているので、あまり突っ込んだ話はせず、適当にはぐらかすようにした。途中でいきなり無茶な挨拶の指名も受けたが、アルコールが適度に回っていたのでうまく切り抜けられた。正味2時間の短い会ではあったが、普段とは一味違う勢いのある飲み会となり、楽しかった。二次会に行く人たちもいたが、そこは華麗にスルーして駅へと向かった。


帰りの電車内で、自分の担当業務の前々任者の人と一緒になり、10分ほど話をした。この人ときちんと会話をするのはほとんど初めてだったが、短いながらも担当業務のことや人生観についてお話を聴くことが出来て刺激を受けた。氏曰く、結婚は早いほうがいい、後輩にはもっと厳しく接して上下関係の重要性について身に叩きこませたほうがよい、給与担当は俺が代わってやる、云々。後輩への指導の件については、なるほど確かにと思った。自分も、若手の会を主宰してはいるが、ただ仲良くわいわいやるだけでは発展性がないとつくづく疑問に感じていた。今後は、例えばディベートやディスカッションをしてみるとか、単なる世間話に留まらない建設的な内容を少しだけでも盛り込めればいいと思う。自分は若手のまとめ役だの、ホープだのと言われてはいるが、実際そう言われるだけの中身のあることは出来てはいない。例えそれによって疎ましがられて少しくらい参加者が減ってもいいから、今後のわが社の発展に向けて議論できるような土壌を育てて、そこにしっかりついて来てくれる人たちを確保すること、そのための「目的を持った」活動をしていくことが次なるステップになるであろうと考えたのだった。降車した駅から、自宅までの帰りの道のりは、そうした活動のプランに想像を膨らませ、実に陽気な気分で歌を歌いながら田んぼに挟まれた道路を歩いた。周りに民家もないから、歌っても迷惑にならないし、誰も歩いていないから恥をかかないで済むのが田舎の特権である。飲み会帰りに最寄り駅から家まで2.5kmほどを歩いて帰ったのは、おそらく今回が初めてだと思う。天気が良かったので30分ほどで着いた。その後一休みしてから風呂に入り、本記事を書いて今に至る。みずから「若手」と公言して反論を受けないのは、せいぜい20代のうちだけだろう。残された時間は短い。若手の会の発展のために、議論を出来るメンバーを集めなければなぁと楽しい想像に頭を悩ませながら、今夜は床に就くとしよう。

(60分)