撤回

一ヶ月ほど前に、「近いうちに一人暮らしをする」と決意したと書いたが、あれは表明から程なくして撤回した。その理由は主に以下の3点に集約される。


①お金がかかりすぎる
最低でも年間70万円以上の費用が新たにかかると見込まれた。そのお金を工面する当てがないし、それだけのお金があったらどれだけの旅行やゲーセン通いが出来るか、北海道で1週間スキーするなんてことも余裕で出来るぞと考えたら、とても費用をかける気になれなかった。
②実家を放置出来ない
弟と父が関東に出ていてすでに家族が分裂状態なのに、更に自分が家を離れると、老齢の祖父母の面倒を母一人でみなければならなくなる。精神的にも肉体的にも母の負担が大きくなり、家が持続出来なくなるのは明らか。そうした事態を自ら招いてはならないと思った。家を離れたいと思った理由の一つに、昼夜を問わず支離滅裂でヒステリックな言動を繰り返し家族を翻弄する認知症の祖母に我慢できなくなったことがあったのだが、その現実を放置しておくのは無責任でしかない。
③手間がかえって増加する
実家とアパートをどういう頻度で行き来するのかとか、車庫もなしに冬場の車の保管はどうするのかとか、アパートに何を置いて何を置かないのかとか、住民票はどうするのかとか、家で何か起きた時すぐ駆け付けられるのかとか、考えれば考えるほど課題が次々に浮かんできて、思った以上に非常に面倒であることが明らかになった。生活をシンプルにするために一人暮らしをしたいと考えていたが、実際にはかえって複雑化の一途をたどることにならざるを得ず、それはひたすらムダでしかないと感じ、決意が折れた。


ということで、「自分を鍛えるのにどれだけ役立つかは不明だが、出費と手間と問題は劇的に増大するので、デメリットが非常に大きい」と考えられることから、一人暮らしは中止するという判断に至った。その後は、「実家にいることを武器と考え、時間と資源を最大限に有効活用して自分に投資しよう」という真逆の発想に転換した。ただでさえ父が退職し世帯収入が減っているのだ。どこぞの大家さんの不労所得を潤すために、余計なお金をつぎ込む余裕はない。ただ、断念したのはあくまで「地元での一人暮らし」である。異動で遠くに飛ばされて一人暮らしというのはあってもいいと思っている。そういう場合は手当が出るので、生活もそれほど厳しくはならないだろう。20代のうちにそうした経験を積むのもいいかもしれない。それについては、親も認めてくれている。ただ、希望を出すかどうかは、まだ考え中だ。

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