本音

あと5年以内に結婚できなかったら、おそらく一生できないだろうな・・・という危機感と切迫感が昨春あたりから強く意識されるようになってきた。25才を超えてからは、一層それが強まった。若さは一分一秒ごとに失われ、自分の市場価値も下がっていく。稼ぎも多くないし、特段特別な能力もない自分では、30歳を超えたら、もう手遅れであろう、と思うのだ。職場でも友人でも、同年代で結婚している人はまだ割と少ないが、それを見て「まだ大丈夫」と思ってしまったらもう完全アウトだ。そう思って安心している限り、永遠に独身のままである。年齢が上がるにつれて、独身でいることへの世間からの風当たりは強くなる。自分も中高生のころは、「自分は孤高に生きるのだ」と生涯独身を気取っていたが、その後年を重ねるにつれて、そんな虚勢を張れるほど現実は甘くなく、自分は強くはないということを実感することになり、徐々に考えも変わっていった。独身で身寄りもなく老後を迎えることの悲惨さは、数々のドキュメンタリー等で身に染みているし、そもそも「家族を持つ」とか「子どもを育てる」といった経験を経ないでいることは、社会人として果たすべき責任という面において何か大事な部分が抜け落ちていることになるのではないかという思いもあった。歴史に名の残るような偉大な仕事をして社会に貢献するなら話は別だが、普通に勤め人として平平凡凡に生きている限りは、次の世代を育成していくことこそが最大の社会貢献だと思うのである。手遅れになる前に、何とか一刻も早く手を打たないと、という気持ちはものすごく強いが、しかし、「では具体的にどうすればよいか」という話になると、今のところ何も打つ手がなく、ただただ困り果ててしまう。当然ことながら、相手がいないと話にならないからだ。えり好み出来る立場にはないが、かといって誰でもいいというはずもない。自己中心的になってもいけないが、相手のご機嫌取りばかりするという対等でない関係もおかしい。縁や出会いを待っていたらその前に墓場行きになってしまうので、こちらから動く他に手はないが、自分の交友範囲の狭さからするとそうしようにも全くとっかかりがない。非常に難しい問題だ。そもそも結婚したいという思い、ただそればかりが強くて、相手にしても、将来にしても、現実的には何ら具体的なイメージを伴っていない。もやもやした感情が渦巻き、自分を否応なく急きたてるのである。そのことについて毎日気になってしまって仕方ない。ただ、考えなくなったらお終いでもあるので、それはそれで健全な状態であると言える。このまま足踏みを続けていてもただただ時間が失われていくばかりだ。せめて、料理のレパートリーを増やすなど、自分の商品価値(外見はどうしようもないので、中身を磨くしかない)を高める(と思われる)努力をして、少しずつでも前進しているのだと実感を持って自分を落ち着かせるくらいのことはすべきだろう。

(50分:1/30)