自省

今週一週間は毎日、地元の中学2年生3人が「職場体験」として大学に来ている。3人はそれぞれ別々の部署に「配属」されており、自分の部署でも男の子が一名、ミーティング用テーブルで仕事をしている。7月にも別の中学校から4人が、一週間の職場体験に来ていて、今月は別のもう1校からも来る予定になっている。彼らは、大学の事務の仕事を体験しに来ているのだが、ほとんど何をするのかも分からずに来ているのが実情のようだ。大学というと学生と教員の姿しか想像が付かないだろう。きっと事務なんて仕事の存在はまるで知らなかったはずだ。自分でさえ実際入るまでは「学務」のイメージしかなかったのだから、中学生に大学事務の仕事のイメージなどあろうはずもない。しかも、ただでさえPCとにらめっこして自分の席に座りっぱなしの時間が多い仕事なのに、中学生に与えられる仕事はその中でもごくごく単純な、いわば雑用だ。インターンシップに行った学生がどうしょもない雑用ばかりやらされて、結局何も得るものがなかったという新聞記事この前読んだが、こちらもそんなようなものだ。発送する封筒の宛名をチェックするとか、アンケートのデータ入力とか、学内便(大学内の各部署間でやりとりされる郵便)の配達とか。やらせてあげられることというのは案外限られていて、今でも「何をさせたらいいか、適当な仕事はないか」と担当者が困っているような状況だ。中学生を横目に見るに付け、きっと退屈で、やる気もわかないだろうな、これで学校に帰ってから、「今回の体験で何を得たか」なんてレポートを書かされたら、きっとすごく悩むだろうなぁ、なんて同情したりしてしまう。


しかし一方で、彼らを見ていて我が身について考えさせられる部分もある。果たして自分の仕事とは何のためのものなのか、やりがいとか、社会に対する貢献度、情熱とか将来への展望とか、そういうことを問われたら、今の自分は果たして自信を持ってそれに即答できるだろうか。いや、できないだろう。仕事には真剣に確実に取り組んでいるが、自分の仕事について顧みているかといえば、それはほとんどしていない。ただ毎日を、現状を、特に何も考えずに受け入れ、やり過ごしている。それでいいのだろうか。人間、考えなくなったら終わりではないか。そういう危機感のようなものが背筋を走り、身が引き締まる思いがする。一日5分でもいいから、そういうことを考える時間を作って、ときに自分のことを「これはまずいのではないか」と疑問をもてる状態というのは、保っておかねばならないと思う。

(25分)