USB扇風機

いつの間にか、7月も半分が過ぎようとしている。季節はすっかり夏である。当然ながら気候は蒸し暑く(ただ今日は涼しくて寒いくらいだが)、ただでさえ少ない食欲が更に減退している。


職場ではもう終日エアコンの冷房がかかるようになった。しかしそれでも日差しが窓から差し込むようなときは暑い。冷房は全員の合意がないとうかつにいじることは出来ないし、個人的なレベルでもう少し涼しくすることは出来ないだろうか。そう考えて、先週職場で「USB扇風機」を使ってみた。その名の通り、PCのUSB端子から電気を取って作動するミニ扇風機で、ジョーシンで1000円で売っていた、おもちゃみたいなグッズである。

先輩と「USB扇風機でも欲しいですよね」と常々話していたので、半分冗談のつもりで、人があまりいなくなったときにこっそり机に設置してみたのだった。1000円の安物といえど侮るなかれ。使ってみると、ダイヤルで風力を調整でき、作動音もほとんどしないなど、結構良くできていた。それでいて座っている分には十分な涼しさを得られた。これはいいな、と思ったが、こんなおもちゃみたいなものを果たして職場で使っていいのか。学生と外部の人は滅多に来ないとはいえ、教員は頻繁に来る。遊んでいると思われてはよろしくない。そこで、上司に「こんなの使ってもいいですか」と伺ってみた。先輩も見守る中、しげしげと扇風機を見つめた上司は、こう口にした。「別にいいけど、そんなの使うのは変な人だよ」と。それを聞いて、自分は扇風機をそっと机から片づけて、パッケージに戻した。職場は仕事をするところだ、周りから浮くようなことをしてはいけないな、そんな反省だけが後に残された。


その扇風機は現在、自室のノートPCの横で静かに回っている。

(25分)