多難

丸一カ月前に買ったノートPCを、今日ようやく開梱し、使い始めた。だが白い筺体のデザインにうっとりし、グラフィカルな新OSにわくわくしたのは、ほんの最初だけ。というのも、思っていた以上に、旧PCからのファイルや設定の移行作業が困難だったからである。作業に一日中専念していたわけではなかったこともあって、とてもではないが、完全な移行は完了せず、今日のところはFirefoxPicasaiTunes、がまぐち君(家計簿)などの主要なソフトのインストールと、いくつかの設定を行うにとどまった。とりあえず、ブラウザはブックマークを移せばいいだけだし、家計簿も多少面倒ではあったものの、今までの約2年分のデータをそのまま移すことが出来た。しかし容易だったのはそれくらいなもので、そのほかは全く移行の目処が立たなかった。プリンタを使おうとすれば、付属CDのドライバではダメで、ネットから今のOSに対応した最新版をダウンロードせねばならなかった。ファイルを移そうと外付けHDDを接続してみると、今度は「アクセスが拒否されました」と言われて、中身を取り出すこともままならない。音楽も、写真も、メールも、一筋縄では行かなくて、一々ネットでやり方を検索して調べなければならなかった。しかもそうして出てくるやり方は、面倒この上ないもので、やる気が萎える一方だった。Windows7(64bit)の使い勝手にもまだ全く慣れないし、デザインもシステム構造もWindowsXPと比べ変わっていすぎて、ちょっとしたことで「どうすりゃいいんだ」と迷うことばかり繰り返した。いくらハードウェアが、CPUがCOREi5で内蔵HDD500GBでブルーレイディスクドライブがついている素晴らしい仕様であっても、ユーザーインターフェース、あるいは乗り換えという面でこれほど負担を強いるものであれば、やっぱり全体としての評価は落とさざるを得ない。不便だ。4、5年に一度の作業であるとはいえ、あまりに不便である。ソフトウェアやデータをネット上のサーバに置いて、PCをただの純粋な「端末」にする、クラウドコンピューティングというシステムが注目を浴びているのも、なるほど理に適ったことである。ハードウェアとソフトウェアとが一体不可分である今のPCはこういうときに不便であり、データの保持における安全性は極めて脆弱だ。データをネット上に置くことのプライバシー云々より、こういう場面では利便性のほうが優先されてしかるべきであり、クラウドのような末端のハードウェアに依存しないPCのシステムが一刻も早く一般化することを期待したい。でないと自分は、「こんな面倒な目に遭うのなら、もういっそPCなんか買うもんか!」なんて極端なことを思ってしまうから。


あらかじめ買っておいたキーボードカバーが、新PCのキーボードの形状と合わなかったり、Windows7にOutlookExpressが付属していなかったり、深夜から土砂降りになって雨音のうるささに眠気をかき消されたり、今日はろくなことがなかったが、ひとつだけいいこともあった。それは、旧PCの5年保証加入証書が見つかったことだ。偶然見つけたときは、喜びのあまり小躍りしてしまったくらいだった。大学時代を支えた(あるいは壊した)パソコンとして思い入れがあり、テレビ(アナログ)が見れ赤白黄色のビデオ入力(コンポジット入力)が出来るという機能面でもかなり特徴的な機種なので、有料でもいいから画面を修理したいと思っていた。だから、これで(全額ではないかもしれないが)修理に保証が利くことになったのは大変助かった。早くデータ移行作業を完了させて、修理に出したいと思うが、まあ早くて次の土日か、その次の土日だろうな。今週は色々あって大変だから。修理の見込みが立ったことで、乗り換えを急ぐインセンティブがなくなったのは、果たしてよかったのか、悪かったのか・・・。

(65分)