疲弊

祖母から少し前に百貨店の商品券をもらったので、それを使うために午前中、高田本町のデパートまで出かけた。


ここに入るのは、昨年の秋以来のことだ。そのときは就活に使うかばんを買いに来たのだった(ただし結局それを買った店はAOKIだった)。今回は特に何を買うということもなく、適当に気に入った服でも買おうというつもりでいた。


しかし、気に入る服はなかった。そもそも男物が少ない。女物に比べ圧倒的に少ない。それはまあどこもそんなものだが、その上、ゴルフをしてるおじさんが着ているような服(多分に誤解を招きうる言葉だがこれが正直な感想だった)、自分には年不相応な柄と地味さの服しかなかった。じゃあ他のものを買おうかということになったが、これまた買いたいものが全くない。売り場面積が狭いし、本屋や雑貨屋もないし、娯楽スペースもない。全く面白くなかった。客が少ないのも納得。これでは、来年四月で閉店(撤退)するというのも止むを得ないことだ。一消費者の目からしても、割れたガラスをテープで補修してそのままにしておくとか、食品売り場の目に付くところにダンボールが山積みされているなど、「ちょっとこれはデパートとしてどうなのよ」とうなってしまう部分も目立ち、商売のやり方がそもそも下手なんじゃないか、と感じてしまったのだった。


デパートを出た後も、本町の商店街を車の窓から眺めて観察してみた。そこは、あからさまに寂れていた。将来性を感じる要素は、残念ながら見当たらなかった。地方の疲弊というものをまざまざと感じざるを得なかった。これを再生し活性化させるというのは、果たして可能なのだろうか。地方は需要が少ないから商売が成り立たず、事業者が減って利便性が低下、それにより人が都市部に流出して更に需要が低下する、なんていう悪循環がどんどん進行してしまっているのだと思う。大卒の仕事がないのだから、彼らがもたらしうる知識やアイデアも反映されず、いつまでたっても旧態依然。栄えるのはいくつかのショッピングセンターばかり。それで本当にいいのだろうか。今後ますます人口が減って、そのSCさえ撤退したらどうなるだろう。心配でならない。


自分はこれから商売をやるわけではないし、行政の立場からこうした商店街の活性化に携わることも叶わない。一消費者としてここで買い物をするくらいがせめてもの貢献だ。しかし商品やサービスに魅力がなく、それすらも出来ないというのが現実。果たして賑わいを取り戻すだけの潜在能力がこの商店街にはあるのだろうか。それが、素人なりに、これから考えてみたいテーマの一つである。

(30分)