ぼくらの・完

昨日、「ぼくらの」の11巻を読み終えた。これでこの作品は完結した。


パイロットだった子どもたちはみんな死んだが、彼らのおかげで一応地球は救われたような感じだった。地球を救うために死ぬ運命を背負わされ戦わされる不条理。その中でのドラマ、心理描写には胸を締め付けられる思いだった。しかし「結局自分は安全に傍観してるだけにすぎないよな」ということに気づいてから、急に白けてしまい、ただの面白い漫画になってしまった。自分は今死を前にしているわけではない。どうしたって子どもたちに完全に感情移入などできないのだ。それが一つ悲しかった。ただそれにしても、「なるたる」も含め読者を深く暗い感情の底に引きずりこむストーリーを作り、それを表現する画力を持った作者は、やっぱり天才的だなと感じ入ってしまった。


付録の特別ヘンはギャグマンガになってて、本編のシリアスさと比べあまりにお遊びがすぎるんじゃないかという印象を受けた。ただある意味ブラックユーモアでもあるし、序盤で死んでしまった子にも活躍の場が与えられてたので、これはこれで楽しめた。イブニングで鬼頭さんの新連載が始まったのだが、今度は自転車がテーマのようだ。一話目を読んだ限り、ファンタジーではないっぽい。何はともあれ、今後もこの作者には注目していきたいと思う。

(40分)