読書:ゲームホニャララ


著者:ブルボン小林/表紙・挿画:フジモトマサル
出版社:エンターブレイン
発売日:2009/9/12



これもまたファミ通に連載されているコラムの書籍で、内容もゲームについてのもの。


ただこちらは小説家が本業(今知った。長嶋有という名前で芥川賞も取ってるらしい。すごい)の方のゲーム考で、ゲームの中のある部分に何かを見出したり、逆に世の中にあるゲームと関係ない事象の中にゲームらしさを見出したりして論考する内容となっている。ただし、そんなに堅苦しいものではなく、文章も結構くだけている。


桜井さんのものとは違う、ある意味、哲学的で抽象的な内容も多くて、これはこれで別の面白さがある。


というかとても面白くて、昨日今日で一気に220ページあまりを読みきってしまったのだが、内容が説明しづらいのでどこがどう面白いのかはうまく言葉にできない。


古いゲームが、懐かしい存在としてではなく、今も現実に存在していてプレイ可能な存在として、最近のゲームと同じテーブルで扱われていて、正直言ってプレイしたこともなければ存在すら今まで知らなかったようなゲームが、毎回のように登場する。それでも何となく話に納得できて、場合によっては強く共感できるのは、うまく出来てるな、と感心せざるを得ない。


帯のキャッチコピーの「遊ばなくてもおもしろい」というのは全くその通りだと思った。


05年から09年の連載が時系列関係ない順番で収録されているが、当時の世相とか、ゲーム業界の様子(次世代機がもてはやされてた頃)とかを思い出し、想像しながら読むのもまた一興である。


個人的には「『クイズマジックアカデミー』をノートを広げて問題をメモしながらプレイする」ことについての賛否の話、「ゲームは映画のような受動的表現に比べ能動的な表現、だとすれば『おもしろさ』や『楽しみ』もまた遊び手が能動的に参加して発生させたものだ」という主張に大いに考えさせられた。


これが何を意味するのか知りたい方はぜひ本書を手にとって欲しいと思う。

(30分)