極限状態

尋常じゃない。今の自分の心の中は、崩壊寸前だ。苛立ちと、後悔と、絶望。それらが混然一体となって自分の中を荒らし回り、極限状態に達している。


一体全体、自分はこの3カ月、何をしてきたのだ。もっと早く手を打っていれば、今頃になってこんなに焦り苦しむ必要はなかったのに、何で後回し後回しを繰り返してきたのだ。何でこんなことになってしまったのだ!・・・そんなふうに、もはや、取り返しのつかないことを、悔やんでしまって悔やんでしまって、一旦考え出すと、もう止め処なくて、心が爆発しそうになる。


夜中にこんな状態になってしまって、寝られないんじゃないかとまで思ったが、家計簿をつけているうちに疲れてきて、やっと落ち着いてきた。今日は、海外に持って行くものを揃えるためにたくさんお金を使ったので、記録にもずい分時間がかかってしまった。そろそろ寝られそうだ。ただし、暑さも手伝って、安眠は望めそうもない。海外滞在中のユーロでの出費を、家計簿の記録時に日本円にどうやって換算するかとか、日記の時刻表示をいつの時点で時差修正するかとか、記録にも多々疑問や問題がある・・・なんて考え出すと、また眠れなくなりそうだ。考えなくてはならないのは間違いないが、今それをすると夜が更けて明日の日中の仕事に差し支える。かといって、次に考える作業が出来る時はいつかといえば、明日の夜に頼るほかなく、今夜と同様の悪夢を見ることにもなりかねない。だから、平日は使い物にならないのは分かっていた。休日の行動が頼みの綱だったのだ。だが、それがうまく行かなかったから今苦しんでいるのだ。ブログの更新だとか、新聞を読むだとか、日常的な行動は、これから一週間、そして帰国まで、おそらく一切出来なくなる。出発までの準備と、現地での必死の対応にひたすら追われることになる。人生最大の危機であり、原発事故並みの非常事態なのだから、些事になど構ってはいられない。


出国は8月7日(火)。次の土日は友人と会うために、前泊で出掛けるから、実質的には振替休日の明後日31日(火)が、出発前最後の休日となる。山積する課題をその日に一気に片付けるには、極めて綿密な計画と、自分を一切サボらせないための相当の覚悟が必要だ。「これをやらないと異国でくたばることになるぞ」というくらいの覚悟が。でも無理だろうな。結局、「全然準備が終わらなかった!死ぬ!」という状態で、顔面蒼白状態のまま成田発の飛行機の中で南無阿弥陀仏を唱えることになるのだろう。別に参加者の中でどれだけ浮こうが、独逸人と全くコミュニケーションが取れなかろうが、ホストファミリーを困らせようが、最悪でも強制帰国させられるだけで、殺されることはない。それは分かっている。だが分かってはいても、これは自分にとって死にかねないほどの過酷な課題なのである。もう自分ですら意味が分からないが、正気で行こうとしたら超絶孤立状態の中で気が狂うし、気が狂わないと準備不足に対する絶望から逃れられないので、いずれにしろもうすでに自分は気が狂い始めているということでFAである。


今回の渡航の目標は「生きて帰ってくること」だけだ。何を吸収してくるとか、日本と独逸の親善だとか何とか言っている場合ではない。それどころではない。ただ生き延びること。出来るだけ気の狂いを最小限に留めること。それしか考えられない。

(30分)