雨天決行

今夜は小雨の降る中、謙信公祭の民謡流しに参加した。大学の地域貢献活動の一環としてのもので、学生と教職員、計30〜40名ほどが浴衣をまとって踊った。途中で10分の休みを挟みつつも、3曲のローテーションで計2時間踊り続けるのは肉体的にも精神的にも大変だったが、終わってみると不思議に充実感があった。昨年と違って、翌日に行われる甲冑を着ての武者行列には参加しないので、踊りの後の打ち上げも開放的な気分で過ごせたし、土曜日の夜の過ごし方としては、悪くないなと思ったのだった。ただ、踊っている間、お祭りだからと陽気な気分でいたかというと、そうでもなかった。通行止めになった道路で踊りは行われ、沿道には多くの人が観覧していたが、果たしてこの方たちは大学に対してどういう印象を持っているだろうか、と複雑な思いでいたのである。


地域の行事に参加することは、確かに地域貢献の一つではあるし、学生や教職員を通じて大学の「姿」を見せることは、地域から理解を深めてもらうための一つの手段にはなりうる。しかし、そのことで直接的に地域が活性化したり、大学のイメージが向上したりするという性格のものではなく、地域貢献というのはそれほど単純な話ではない。何か一つの行動によって実現するものではなく、結局のところ、大学のひとりひとりの構成員が、地域の人から信頼され好感を持ってもらえるような行動を、少しずつ地道に積み上げて行くしかないのである。遠回りで長い時間を要することはあるが、そうして積み上げて形成した信用というのは、ひとつふたつのアクシデントがあっても容易に崩れるものではなく、うちのような小さな大学にとっては、そうした地域の理解を得ること、地域から必要とされることこそが、何よりも大きな財産となるに違いない。地域社会と大学との間で良好な関係が構築され、それが大学全体の共通認識となれば、学生も地域から見られていると思って振舞い方に気を付けるようになると思うし、学生が地域に参画することによる教育上の効果というのも大いに期待できると思う。とにかく、その段階に達するには今はまだ道半ばの状態であるので、何とか大学をプラスに評価してもらえるようなことをしなければならないし、自分としても大学の看板を背負っているつもりで行動しなければならない。そうした意識を強くしたのだった。


地域貢献の担当でこそなくなったものの、これについては大学の存在意義に関わる重要課題として、依然として問題意識を持っているので、今後もことあるごとに、それを再確認し、考え直していきたいと思う。

(10分+40分:8/21)