1年目(完)

社会人1年目の日々が、今日で終わった。地域連携担当として公開講座に携わるのも、今日で終わりとなった。本当は、1年間の仕事や、プライベートの出来事などを振り返って、短かったような長かったような、でも実際結構色々あったなぁ・・・なんて思いながら、感傷的な気分にでも浸りたいところなのだが、明日は平日だし、明日から異動になると思うと、そんな気分になっている余裕はない。正直言って、今の自分の心の中は混沌としている。


今日は、あまり仕事らしい仕事はしていなかった。あまり明確に「ここで終わり」という区切りのある仕事をしている訳ではなく、色んな事を少しずつ同時並行的に進めていくような性質の仕事が中心なので、今日下手に進めて中途半端なところで仕事が中断すると、次の担当者(同じ部署の先輩)に引き継ぐのが厄介になると懸念されたので、これから作成する書類のデータを作ったりとか、引き継ぎ書に書きそびれたことをメモしておいたりとか、そんなちまちましたことをしていた。引き継ぎ書は、一応それらしきものを作ってみた。ボリュームだけはやたらとあるのだが、中身は自分の仕事の内容について、しっかりと手順や考え方等を明示したものではなく、これまでに自分が作った各種資料をまとめた「資料集」に近かった。ただ、その資料集を渡す前に、口頭で何回にもわたって、思いついたことをその都度と伝えていたし、自分の直属の上司が大まかなことは把握しているので、一から十まで手取り足とり説明する必要はないと思っていた。自分が担当になった時にはほとんど過去のファイルとメールくらいしか手掛かりがなかったが、それでもどうにかなったし、あんまりやり方を詳しく説明してそれに縛られると、新たな発想や工夫が生まれる余地を奪うことにもなりかねない。実際にやってみながら、自分なりにしっくりくるやり方というのを構築していくのがいいだろうと思って、仕事の「手掛かり」だけたくさん渡すという形を取った。そういう観点からは、我ながらそこそこ充実したものを渡せたと思っている。あまり整理されてはいないが、実際渡したものはファイル2冊もの量に上ったから、考えるときの「材料」はどこかしらに残してあるはずなので、それだけ読んでもよく分からないかもしれないが、実務の傍ら読んでいけば、「ああ、なるほど」という理解がきっと得られるはずだ。またそれとは別に「おまけ」も2つつけた。一つは、業務を効率化するためのチェックリスト。チェックリストに記載された事項を全て片づけると、1件の講座にかかる様々な仕事が漏れなく完遂出来る仕組みになっている。1年仕事をした今だからこそ、これを作ることが出来た。チェックリストの中身は講座別に異なるものにする必要がある。とりあえず近々実施される講座については、自分でチェックリストを用意しておいたが、途中からはあえて作らなかった。次の担当者が自分自身で作れるようにならないとよくないと思ったためだ。次の担当者は、自分がやっていなかった他の業務も新たに担当することになるため、多くの仕事を同時並行的に確実に進めなければならなくなる。そのために公開講座の仕事は出来るだけ効率化することが必要となるに違いないので、このチェックリストを活用してルーチンをテキパキ片付けていってほしいと思っている。そしてもう一つのおまけは、4月1日にやってほしい仕事のリストだった。事前にとっておいた仕事と、今日までに完了しなかった仕事をA4一枚にまとめて、今日の終業後に次の担当に渡したのだが、これを見ればとりあえず4月1日の朝からまず何をすればよいかが分かり、着任初日からすぐに具体的に仕事に取り掛かることが出来る。自分自身が「4月1日ってまず何をしたらいいんだろう」と疑問と不安を抱えていたことがこれを作ったきっかけだった。多分、いきなりやるのは骨が折れることも含まれているが、全く何から手を付けたらいいか分からないよりは、少々分からないことはあってもやるべきことが歴然としているほうがまだ精神的に楽になると思う。組織規模が小さいせいで、専任担当が一人だけという業務が多いから、分からないという理由で新担当が業務を停滞させてしまうと周りに多大な迷惑をかけることになる。しっかり覚える前にまずは一刻も早く動き出すことが求められているわけだ。そういう意味で、我ながらこの2つのおまけはかなり効果的だったのではないかと思っている。ただ実際自分が思っていたような効果があったのかどうかは、引き継いだ数週間後に本人に聞いてみないことには確かめようがないことだ。工夫はしたつもりだが、引き継ぎのやり方なんて、どこにも見本があるわけではないので、手探りでやらざるを得ず、自分のやり方に確信は持てない。引き継ぎに限らず、うちの組織ではやり方の指導なしに実践が求められる場面が本当に多いので、今後も発想と工夫が重要性を持つことになるだろう。まあとにかく、引き継いだのを機に、今まで担当していた業務への執着はすっぱり断ち切ることにした。講座にどれくらいお客さんが集まるか、ちゃんと満足してもらえるか、気にしだしたらきりがなく、随時業務の状況を報告してもらいアドバイス(口出し)したい気持ちもないわけではないが、いくら思い入れが強く情熱を注いでいたからといって、そんなふうにいつまでも引きずっているのはもってのほかである。「あとは先輩がうまくやってくれる」と信じて、全て委ねるしかない。もうすっぱり未練は断ち切って、外野に退くことを決意した。明日からは、過去の仕事のことは一旦頭の外に置くことしたいと思う。まあ、一度くらい講座を自分で受講してみることはあるかもしれないが。


で、今日までに仕事の引き継ぎは済ませていたので、今日の終業後は、もうやることがなかった。PCもアカウント権限変更とかの関係で18時には使えなくなった。もういつ帰ってもいい状態だったが、机を片付けて空にした後も何となく帰るタイミングが分からず、ぐだぐだしていた挙句に20時半に職場を出ることになった。室長と部長にはきちんと伺って1年お世話になったお礼と今後の抱負を込めたあいさつをしていたが、同じ部署内のほかの人や、一番迷惑をかけた直属の上司への去り際のあいさつは、なんともそっけないもので、舌足らずで、全くぐだぐだだった。ちょっと落ち込んだ。まあ学内異動で、転勤するわけではないから、そんなに仰々しいあいさつは必要ないのだが、それでも今回は「なんだかなぁ」という結末で、やりきれなかった。区切りをつけることの重要性というのを改めて認識させられた。


そして今度、明日からは新しい担当に就く訳だが、これについては、給与という機密情報を扱う仕事の性質上、あまり詳しいことは言えない。今後は、仕事内容についてこれまでのようには語れなくなると思う。というか、これまでの仕事が遊びだったと思うくらいに滅茶苦茶に忙しくなると想像しているので、ブログを書いてもいられなくなるかもしれない。ハルヒの新刊が出るまでに、既刊全巻読み直すのは無理かもしれない。3DSのパッケージは未だに開封していない。少なくとも、1記事に1時間半もかけるのはどう考えてももう無理だ。3分くらいで、ツイッター的に2、3行の思いつきを書くしかなくなるかもしれない。まあ、それもある意味いい薬になるかもしれない。今の自分は一から十まで何でもかんでも書かないと気が済まない、ブログ病みたいなところがあるから。4、5月の平日は果たして家に帰れるのか、自分に果たしてこんな仕事が出来るのか、考えれば考えるほど不安になる。だからもう考えないことにした。考えないで、明日を迎えることにしたいと思う。もうさっさと寝るとしよう。考えるだけ無駄。やってみなくちゃ分からない。悩むのはやってみてから。やる前から悩んで結局やらない。そんなのは今日でもう終わりだ。

(95分)