馬鹿化

自分がバカになってるなぁ、とこの頃つくづく思う。元々バカだが、それの悪化に拍車がかかっている感じだ。人から言葉をかけられた際の切り返しのセリフとか、何かの熟語や用語だとかが、咄嗟に口から出てこないことが、すごく多くなったように感じている。それに、仕事を初めて8か月以上たって気が弛んできたのか、普段の勤務態度における真剣さの度合いがだんだん薄くなっているような気もして、我ながら危惧している。明確な成果を出す性質の仕事ではないけれど、今まで以上のものを実現しよう、業務を改善し効率化しようといった向上心を持ち、それに向けて努力する態度を持たなければ、人間としてダメだと思う。クビにならないように最低限の仕事だけをするのでは、正直言って給料をもらう資格はない。現状にあぐらをかいて向上心を持たなくなった時、人は本質的な意味において死ぬのである。平平凡凡と仕事をするだけの毎日では、生物として死ぬよりずっと前に、人として死んでしまうであろう。そうなることが肉体の死よりよっぽど恐ろしい。


思うに、こういった現状は、「人と真剣に議論しないこと」から生じているものなのではないだろうか。人とディスカッションせず、思考が自分の中で完結して刺激に晒されないがために、頭が、ひいては人格そのものが、陳腐化してしまいつつあるのではないだろうか。新聞を読んだり、雑誌を読んだりはしているが、それは所詮狭く閉じた場における思考作業でしかない。広がりがない。やはり生の人間と、実際に顔を合わせて、自分なりの意見をぶつけ合う、双方向の作業でなければ、頭は活性化しない。それは穏やかな議論でもよいが、対立しあう激しい討論ならなおのことよい。誰かと、そんな真剣な議論をしてみたい、今の呂律が回らないようなボケた頭の自分に出来るかはともかく、対立し禍根を残すこともいとわないような本物の議論がしたい、と強く感じている。関係を悪くしないよう、和やかに、言いかえればなあなあの付き合いをしている同期とは、そんな戦いは望むべくもない。となると、やっぱり友人しかいない。ここはひとつ、誰かを挑発でもしてみようかね。

(55分)