空港

日本では、狭い国土に98もの空港がひしめいている。JALの経営破綻は、採算が取れそうにもない地方空港まで幅広く路線をカバーしていたのが大きな要因である。採算性のない空港を粗製乱造してきた国に責任がある。そんな論調が雑誌の記事に書かれていた。その中で、全国の空港の位置が一覧できる地図が載っていたのだが、これを見て、ふとこう思った。「こんなにまんべんなく空港を作ったのには、戦争になったときに備えるという意味もあるのではないか」と。能登半島紀伊半島の先端部や、稚内などにある空港など、特にそうしたイメージを喚起させられてしまう。日本は道路も狭いし、草原のような平らで何もない土地も少ないから、いざ有事になったときには、軍隊が集結して陣地を構え、戦闘機が出撃するのに適した場所が少ない。だから、広い土地と滑走路を確保できる空港がそういうときに役立つのではないか。そう思ったのである。国内の重化学工業が途上国に移転するのを国が危惧する理由の一つは、戦争の時になったら兵器を生産できるような工業技術が国内からなくなると不安だから、と大学時代のゼミの先生も言っていた。まあ軍事オタの先生の話を真に受けるのもアレだが、国の最大の務めは国民の生命と財産を守ることなのだから、空港建設にそうした意図があったとしても何の不思議もない。だからといって、自分はこれだけの数の空港が必要だと言うつもりはないし、国を擁護してものを論じるつもりもない。ただ、現在の(少なくとも外からの侵略を受けていないという意味で)平和な日本の中で、もしかして戦争が起きたら、みたいな思考を完全になくして生活するのは、どうなのかな、と思ったということだ。

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