あーあ!

今日は、参考書を売った利益が出たので、Sにその大部分を還元した。具体的には、自分:S=1:5くらい。そしたら、にわか成金になったSが、案の定「飲もうぜ」と言い出し、寒いことから宅飲みすることになった。


「豪勢に行こう」ということで、勇んで原信に向かった。しかし所詮は庶民。毎回定番の麻婆豆腐などを選んでいくと、大して大胆なものにも手が出ず、酒も淡麗生と冒険しないものに落ち着いてしまった。結局4300円ほどと、店で飲むのと大差ない費用に落ち着いたのだった。


で、19時半頃から飲んで、よく覚えていないが、テレビを見ながらどうでもいいことをあれやこれやを話していた。そんな中で、悪夢は唐突に訪れた。



座椅子にもたれかかったSが後ろに倒れ掛かり、てこの要領でテーブルをひっくり返したのである。食器にグラス、缶ビールなどが一瞬にして床にすべり落ち、無残な姿へと成り果てた。結果的に皿とグラスの2つが割れ、汁が飛び散り、床が水浸しになったのだった。自分はそれを目撃した瞬間にながーい溜息をついてあきれ返り、Sのことをなじった。奴は大笑いしていたが、片付けるのは全部自分だったので、自分は文句をたれて皿を拾い、床を拭き、掃除機をかけた。なぜか掃除機が「切」を押しても再起動するという謎の現象を引き起こし自分の苛立ちを誘ったが、そんなことは些細なことでしかなかった。自分はとにかくこの取り返しのつかない不条理にいらだっていた。しかし酒で頭がぼーっとしていたので、全ての作業が完了するとどうでもよくなって、シメのカップラーメンを食べ始めた。過ぎたものはもうどうしようもなかったので、Sに反省を促した後はそれ以上考えないことにしたのだった。


損害賠償として彼に渡したお金の残りのをボッシュートしようかとも思ったが、それではあまりに短絡的で心が狭いと考え、今回のところは許容することにした。今回の事態には本当に参ったが、奴もこれで懲りたろう。今後は宅飲みの際は奴を座椅子に座らせないようにしようと、今日の出来事で固く誓ったのだった。

(70分)