古き佳き

昼間、カーラジオで流れた曲が、何だか耳に残って頭から離れなかった。サビに聞き覚えがあり、よく分からないが強く懐かしさを感じたのだった。


サビの「♪ミラクルガール!奇跡はいつでも〜」というフレーズを頼りに、ニコ動でその曲を探してみたら、案外簡単に見つけることが出来た。



それはアニメ「YAWARA!」のOP曲の「ミラクル・ガール」という曲だった。


YAWARA!浦沢直樹作品として有名だし、原作は読んだことがないものの、キャラには見覚えがある。もしかして、小さい頃見たのだろうか?と思って調べてみたら、1989〜92年にかけて放送していたことが分かった。自分が1〜4歳のときということになるから、後期ならアニメ自体は辛うじて見たことがあるかもしれない。


しかしこの曲は一番最初のOPだから、直接見たことはないはずだ。多分小さい頃にテレビ以外のどこかでかかっていたのを聴き、覚えていたということだろう。どこで聴いたのかはともかく、懐かしさを感じるのは事実だ。懐かしい存在にふとしたきっかけで再び触れられたことを、何だかとても嬉しく感じた。


また動画で当時のOP・ED曲を連続して見てみると、その映像のセンスのよさ、セル画の味わい深さと美しさに思わず見とれてしまった。全てが手書きであることが驚きであると同時に、これら自体が、単独で極めて高品質な映像作品としてしっかり成立していることが素晴らしいと思った。キャラクターの魅力が、本編を見る前から伝わってくるほど生き生きとしたアニメーションに、クリエーターの作品への愛の強さと職人魂を強く感じたのだった。


工学的な技術の進歩に限界はないと思うが、いわゆるクリエイティブな分野における人間のアイデアや独創性にはいつか飽和が訪れると思う。だから、昔より優れた作品を作って欲しいと思ったところで、それには限界があることは承知している。だが、昔のものに引けを取らない程度には勝負して欲しい・・・。そう今のクリエーターたちにエールを送りたくなった。


アニメ業界が人材難や低賃金や海外への外注で大変な状況であることは重々承知しているが、優れた文化を絶やさないためにも、ぜひ諸問題を打破して再び世界に輝く金字塔のような画期的な作品を作り出していって欲しいと思う。難しいだろうけど、昔の人たちだって、ムリと思われたことを乗り越えることで、傑作を残してきたのだから。

(30分)