昨晩は少し酒を飲み過ぎた。朝は頭が重かったが、風呂に入って、朝食を取った後はかなり楽になった。10時半ごろに帰宅し、本来の休日が始まった。
14時、天気が良かったことから、自転車でぶらりと出かけることにした。15kmの道のりをのろのろと走ること1時間、市内唯一のボウリング場にたどり着いた。ここに来たのは、クイズマジックアカデミー８（マジアカ）をプレイするためだった。マジアカの筺体がある店舗は、自分が知る限り市内にはここしかない。人口20万人の市で、たったの6台しかない訳だ。しかも週末。当然ながら、全ての台が人で埋まっていた。仕方ないので台の近くでぼーっと突っ立って空きが出るのを待っていたが、そこで自分はほかの客のプレイスタイルに強い違和感を覚えてしまった。問題画面をデジカメで撮影し、紙にメモりながらプレイしている客が複数人いたのである。「えーっ！そんなことしちゃうの？！」と思って、がなりびっくりした。そういう客がいること、ネット上のwikiページには出題された問題が投稿・集積されているらしいことは以前から知っていたが、実際自分の目でその場面に遭遇するのは初めてだったので、衝撃に近い違和感があったのだった。
問題をメモしていた人たちは、互いに会話をしていたことから同じグループのようだった。問題の研究にでも来たのだろうか。グループなのでなかなか人が抜けないし、「混雑時は2クレまで」といったルールが決められている訳でもないので、かなり待たされる羽目になった。その間、彼らのプレイスタイルについて考えてみた。
○彼らはセコいのだろうか？
ブルボン小林氏が、著作『ゲームホニャララ』でこの問題について触れていた。氏は、「カンニングだ。かっこ悪い」と、ノートを取る彼らに冷ややかな視線を向けていた。対戦なんだからガチンコで勝負しろ、という氏の主張にはごもっともと思う反面、必ずしも否定すべきものでもないような気もする。彼らの目的が、「ハイスコアを取ってどんどん昇級し全国のトップに立つこと」であるのならば、その達成のための手段としては合理的ではないかとも思うのである。自力で覚えたこと、自分の頭に入っている情報だけを頼りにクイズに答えていくのが、おそらく本来のクイズゲームの楽しみ方であり、それゆえに正解した時の喜びというのは何物にも代えがたい快感を伴うのであるが、その一問一問の達成感ではなく、順位を取ることの達成感を重視するのであれば、そうした行為も「セコい」といった誹りを受けるものには当たらないと思う。自分は他人に勝った負けたということより、自分がどれだけ問題を正解出来たかということのほうをずっと大事に考えているので、他人がそうした行為によってスコアを伸ばしたとしても、あまり腹を立てる気にはならない。もちろん、オフラインでCPU相手では単調でつまらないし、全国の人とクイズ力を競うからこそ楽しいのではあるが、彼らとは目的が異なるので、自分と利害が対立する関係にはないと思っている。しかし、道具や他人の力に頼らず自分の実力だけで頂点を目指そうとしている人にとっては、彼らの行為が「反則」と映ったとしてもやむを得ないことであろう。
○自分の目的
翻って自分は、何の目的でマジアカをプレイしているのだろうか。自分の知識力の腕試しをし、問題に正解した時の達成感を楽しむため、というのはもちろんあるが、それと同時に「自分の知らない知識に出会うため」というのもかなり大きなウェートを占めている。マジアカで知らない問題に出会い、答えを間違い、自分の知識不足を痛感するというのが、自分にとってとても重要で有益な体験だと思うのである。プレイ中に分からなかった問題については、頭の中にメモしておいて、家に帰ってからネットで調べて、知識の増強を図るということをしばしばしているし（今日だと「藤堂高虎」がその例に当たる）、問題を解けなかったことを反省して「化学や生物についてもっと勉強しよう（したい）」「小説を読んだり、スポーツ報道を見たりすることも大切だ」「日本の地理を覚えよう」と決意することも多々ある。マジアカをプレイすることで、自分の知識の穴が明らかになり、自分の教養の幅を広げていくきっかけが得られたらいいなぁという思いを常にもっているので、時には間違うことに正解すること以上の価値を感じることもあるのである。
ということで、自分のマジアカに対する姿勢が明確になったと共に、メモしている人たちのことは、今後は特に気にしないことにしようという結論を得るに至ったのだった。ただし、集団で来られて長時間占拠されるとかなり困るので、そこら辺はちょっと自重してもらいたいところである。30分間待った末ようやくプレイ出来たが、今日の正解率はいまいちで、気分もあまり盛り上がらなかった。100円2クレになっていたのはうれしいような気もする反面、1人あたりのプレイ時間の長期化を招くので、店側にとっても客にとっても本当のところあまり好ましいこととは言えない。マジアカをするためだけに往復2時間は、さすがにちょっと疲れた。来週は木曜に祝日が控えているし、明日はゆっくり休みたいと思う。
（90分）
