生水

8月もいよいよ終わろうとしているが、依然として暑い。風呂を上がった後は、ジュースをがぶ飲みしたい衝動に駆られる。しかし歯磨きをしてしまった後では、歯を汚すようなものは(たとえお茶であっても)飲むわけにはいかない。それで仕方なく、就寝前には水道水やそれを凍らせて作った氷ばかり口にしている。何の疑問も感じず、蛇口の水をそのまま口にしていたが、考えてみるとこれはここ最近「復活」した習慣であるといえる。というのも、新潟市に住んでいた大学生の当時は、ゼミの教官の「市内の水道水にはトリハロメタンが含まれているから飲む際は煮沸したほうがいい」と言っていたのを鵜呑みにして、生水は歯を磨くとき以外には口にしないようにしていたからだ。だから喉が渇いたら、牛乳やジュースを飲んでいたのだと思う。それゆえ虫歯になった。トリハロメタンが何なのかも調べないまままるっきり信じていたのは今考えるとバカだったと思うが、約3年間は少なくともアパートでは生水は飲んでいなかった。それが実家に戻ってきたことで、「水道水を生で飲んではいけない」という自分の中の規制が自然消滅し、子どもの時からそうしていたように、水をそのまま飲む習慣が再び定着したのだ。


「水道を生で飲むな」と教官が言ったのは、新潟市、特に大学がある西区の水道水は、信濃川下流信濃川取水場:江南区久蔵興野)から取水していることに理由があったのだと思う。一般に川は下流になればなるほど、工場排水に含まれる化学物質や、田んぼからの農薬などが混入して汚くなる。日本一長い川である信濃川の最下流ともなれば、必然的に汚れざるを得ない。それが問題だったのだ。翻って、上越市内の水道水はどうなっているかというと、主に正善寺ダムと柿崎川ダムによって、山間部の河川の上流から取水し、浄水して供給されている。また豪雪地帯であり、水の供給量も豊富であることから、化学物質による汚染の程度は相当に低いと考えられる。だから、上越の水はそのまま飲んで問題ない、というのが自分の考えである。まあ確かにリスクはゼロではないが、大気を吸い込むことや、焼き鳥屋の香ばしい煙を吸い込むこと、コンビニのおにぎりやスーパーで買った野菜を食べることも発がんリスクを高めるし、いつか必ず死ぬ存在である我々人間にとって、この世界に存在するものは程度の差はあれ全ての害であると言うことも出来るので、安全か否かというのは必ず相対的な観点からとらえられるべきであり、そうして見れば上越の水はまず安全と言いきっていいはずだ。逆に言えば、タバコの煙は相対的に有害性が高いから、危険ということになる。「安全か否か」を「0か1か」ととらえるのは、短絡的で合理性に欠ける、極めて扇動的な悪い発想であるので、例え著名人がその手のことを言っていても絶対鵜呑みにしてはいけない。閾値を設けて、それをどの程度上回って、あるいは下回っているかという部分から、相対的にその問題性を考える・・・冷静に客観的に科学的に合理的な考え方をするためには、それが不可欠である。


何だか話が逸れたが、とにかく上越の水は生で飲めるし、麦茶とかにしなくたってそのままでも十分おいしい。自販機でペットボトルに入った「いろ○す」なんかを買うくらいなら、(煮沸消毒した)空きボトルに上越の水道水を入れて飲むほうがいいんじゃないかな。



↑駅のホーム下に落ちていた「いろ○す」


(70分)