機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争

年末年始の6連休中、大晦日から元日にかけて一泊二日でお隣り富山の温泉旅館へ家族旅行に出かけた。昨年度(2021-22年)に引き続き2回目となる「年越し旅行」だった。両日とも観光施設や飲食店は営業していないところが多かったので、初日にショッピングモールに立ち寄った以外は特段観光もせず、単純に行って帰ってきただけに近かった。また旅館では、ゆく年くる年はおろか、紅白歌合戦すらも見ずに21時には全員で就寝するなど、およそ大晦日らしからぬ過ごし方をした。それでも、去年は猛吹雪でできなかった神社での初詣ができたし、何よりただただゆっくりのんびり過ごせたので、満足度の高い、いい思い出になったと思う。

 

この旅行以外には特にこれといったこともせず、数年前から続けているこの期間限定の願掛け(断ち物)でアルコールは一滴も飲まず、自宅で子供の相手をしつつテレビを見たり段ボール工作をしたりしていたら、連休はあっさりと終わってしまっていた。「なんでもない日、おめでとう。」のスローガンの下に書かれた4年前の年始の記事の精神を忠実に守るのであれば、これは全く結構なことではある。しかし休日という風呂敷があれば、それをただ小さく畳んだまま済ませることができず、ついつい大きく広げて色んなものを詰め込みたがるのが自分という人間の性というもの(これも いきもののサガ か・・・)。年末年始云々という話とは別に、長い休みの使い方として少々の消化不良感を残したまま、昨日から仕事始めと相成ったのだった。そういう二重の意味で、年末年始という期間が、自分はどうしても好きにはなれないのである。

 

さて、仕事始めで1日出勤した直後の今日は、今年最初の公休日。雪が降る屋外に時折目をやりつつ、自宅のPCで溜まった仕事を処理・整理して過ごしている。といっても仕事の書類やファイルは一切持ち出してはおらず、頭の中でぐるぐるしている多くのタスクを交通整理し、資料や部下への指示書の形に加工してアウトプットしているだけなので、情報漏洩のリスクはない。ただし、持ち帰り残業の一種ではあるので労基法的にはよろしいことではない。趣味に没頭して仕事を忘れることではなく、仕事を処理して手放すことが最大にして唯一のリフレッシュというのは、全くもって精神衛生上不健全である。そんな中でのせめてもの息抜きとして、AmazonのPrimeVideoで視聴したコンテンツが、1989年発売のOVA機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」、いわゆる「ポケ戦」だった。1話30分で全6話のこのシリーズを最初に見始めたのが先月28日で、最終話を見たのが今日5日だから、ちょうど年末年始を挟む形だった。ポケ戦は自分が大学3年生だった2008年に初めて視聴し、きちんと見るのはおそらく今回が2回目。「嘘だといってよ、バーニィ」という第5話のサブタイトルが口から無意識に飛び出すほど記憶にしっかり残っていた、思い出深いガンダム作品だった。それゆえ、ガンダムとザクのモビルスーツ戦の末に、アルとバーニィとクリスに待ち受けていた悲しいラストシーンには、わかっていた結末ながら、いやわかっていたからこそ余計に胸を締め付けられ、苦しいほどの切なさを覚えた。主人公の少年がモビルスーツに乗らず、ストーリーのほとんどがスペースコロニー内の日常生活の場面で占められるという異色作ながら、戦争の不条理と愚かさを強く印象づける普遍性とメッセージ性を有する、数あるガンダム作品の中でも金字塔というべき名作だと改めて感じたのだった。この感動を抑えきれないあまり、ついに今年最初の記事として執筆してしまい、今に至る。

 

切なさの余韻が徐々に消えていく中、今でも頭の中を繰り返しよぎるのは、優しい歌詞と歌声が物語にマッチした、同作のOPテーマ曲「いつか空に届いて」と、EDテーマ曲「遠い記憶」だ。特にOPは、見始めて最初に聴いた瞬間に、懐かしさと切なさのダブルパンチに心がKOを食らってしまった。今後数日間は、この2曲がリフレインし続けることだろう。

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(70分)