転ばぬ先の杖

今朝、通勤兼子供の保育園への送迎の車内で、はたと気付いた。「スーツのベルトを付けていない」ということに。どおりで、何だか違和感がした訳だ。今日は出勤前にいつもと違う作業(車に乗せっぱなしだった荷物を入れ替える等)が複数あったので、そのことに気を取られて、うっかりベルトを付けるのを忘れてしまったのだ。保育園の荷物の用意、子供の身支度、自分の身支度などでぎゅうぎゅう状態の「出勤前作業フロー」にイレギュラーなタスクが混入すると、こういうミスがたびたび起こる。ベルトに加えて、結婚指輪も付けてなかった。自分は一瞬慌てたが、すぐに平常心を取り戻し、子供を保育園に送ってから、そのまま出勤した。そして、職場の自分のロッカーに保管してあった古いベルトを装着すると、いつもどおりの仕事着の姿を取り戻した。こんなこともあろうかと、職場に「予備のベルト」を常備してあったのだ。自宅に引き返すこともなく、無事にこの事態を乗り越えることができた。

こうした忘れ物が招く「ミニ有事」に備えて、自分はあちらこちらに実に様々なバックアップを用意してある。例えば、仕事鞄には、ハンカチ・使い捨てコンタクトレンズ等を入れてあるし、車の中にはタオルや水など非常事態にも役立つ道具を備えてある。職場のロッカーには、今回のベルトのほか、仕事着が汚れてしまったときのための予備のYシャツやスラックス、作業用のズボン等も置いてある。これらの道具は、結構な頻度で出番が回ってきて、自分の助けになってくれている。

何かの対策として「忘れないように気をつける」というのは極めて危ない橋だと思うし、常に育児家事仕事のことで頭が占拠されていて思考回路にゆとりがない自分のような人間にとっては、予め事が起きてしまった場合への備え、すなわち「転ばぬ先の杖」を用意しておくのが最も安全な対策だ。今はタスクで頭がパンパンだからこういうミスを起こすが、今後は次第に脳の老化でどんどん忘れ物・忘れごとが増えていくに違いない。いざというときに転んで怪我をしないよう、これからもあちこちに杖を忍ばせていくとしよう。

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