手荒れvs手指消毒

肌が弱い自分は、子供の頃から冬場の手荒れに悩まされてきた。乾燥で指の関節部分がぱっくり割れて、いつの間にか出血してしまうのである。ささくれが裂けて皮がむけてヒリヒリするのも日常茶飯事だった。それがこの2、3年、家事育児に勤しむようになってからはますます酷くなった。原因は単純、「水回りの仕事が多くなったから」だ。皿洗い、風呂掃除、トレイ掃除、台所シンクや洗面所の掃除といった典型的な水回りの家事はもちろん、子供の洗髪・入浴も自分の専任事項だ。ゆえに水に触れて手の脂が落ちる頻度が高まるから、どうしたって手は荒れる。まだ冬本番ではない11月の現在でも、すでに「ぱっくり割れからの自動出血」が頻発しており、手には常に絆創膏が欠かせない。手荒れに無縁な人から見れば、勝手に指から血が出るなんてスプラッターでショッキングな話だと思われるだろう。長年この現象と付き合ってきた自分にとっても、Yシャツを着るときに血が付かないか、書類に血が付かないかといちいち気にしなくてはいけないので、本当に厄介だし、頭の痛い問題である。

 

これに追い打ちをかけているのが、コロナ禍で日常化した「手洗い」と「手指消毒」である。以前なら、石けんで手洗いをする場面と言えば、トイレ後、食事前、帰宅後くらいだった。これがことあるごとに、しかも今までよりも念入りに、手洗いしなければなrなくなったものだから、手荒れは加速する一方だ。その状態で、店舗の入り口でアルコールを手に塗り込むことを求められると、目も当てられない事態になる。ぱっくり割れの傷口にアルコールが染みこんで、激痛が走るのである。阿鼻叫喚とは、まさにこのこと。店に出入りすることが、すっかり「恐怖」に変わってしまったのだった。

 

もちろん自分も全く対策をしていないわけではない。皿洗いのときにはビニール手袋を両手にはめるようにしているし、お湯よりも手に優しいという冷水を使うようにもしている。寝る前にはハンドクリーム(10年前に買ったアベンヌのコールドクリーム)をたっぷり手に塗り込んで保湿にも努めている。それでも、食べ終わるのが遅い子供の食器、頻繁に使うマグカップなどはついつい手袋なしで洗ってしまうし、子供の入浴時に手袋をつけるというわけにもいかない。そのため、現状の対策では手荒れの進行を食い止め切れていないのが実状である。

 

手荒れは例年、11月頃から4月頃まで約半年もの長きに及ぶ。手指消毒という強敵も加わり、新たな対策が急務である。厳しい戦いの日々は、まだ始まったばかりだ。

 

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