気分を味わう

本当の旅の発見は新しい風景をみることではなく、新しい目をもつことにある。

マルセル・プルースト(小説家)

 

相も変わらず、仕事はノー残業であるがゆえに切羽詰まっていて、常に頭から離れてくれず、家ではずっと家事育児に追われていて、年中無休のめまぐるしい日々を送っている。とはいえ、時に波風の立たない程度に手加減や手抜きをし、時には不満をエネルギーに変換しながら、それなりに前向きに毎日をがんばっているので、ストレスが溜まっているかと言えばそういうこともない。「ストレスは早く発散しないと」という思いが強すぎると、外出自粛に焦りが募り、かえってストレスが増幅することもありうる。大事なのはストレスをゼロにリセットすることではなく、重くなりすぎない程度にセーブすることだ。自分の時間がなくて、あらゆる趣味や友人との付き合いを封印しても、自分の場合は、平日昼休みのバドミントンさえできていれば、ストレスを安全水域に保てるので大丈夫。人間は案外、鬱憤晴らしなどしなくても生きていけるものだ。

 

それでも、「ゲームしたいな~」とか「自転車で遠くに行きたいな~」といった思いが唐突に湧いてきて、無性にうずうずしてしまう日も、時々ある。そういうとき、自分は、ユニクロのこんなTシャツを着る。

 

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見てのとおり、マリオとモンスターハンターのTシャツである。あとは、攻殻機動隊のTシャツとか、ロードバイクの描かれたものも持っている。それらを着ることで、ゲームをしたり、アニメを見たり、自転車に乗ったりした「気分を味わう」ことが目的だ。実際にそれらができなくても、Tシャツを着ているだけで、ちょっと楽しい気持ちになるし、何も描かれていない服を着ているよりもちょっとだけ幸せに感じられる。今大事なのは、日々の何でもないことに幸せや楽しさを見い出すことなのだと思う。そのために、何年も前に買ったユニクロのTシャツたちが、大いに貢献してくれているのである。

 

冒頭の言葉は、物事の視点や捉え方を変えることで、見慣れたありふれたものからも、新たな価値を見つけることができる、という示唆を与えてくれるものなのではないだろうか。通勤途中にいつも通るお寺の前に掲示されていて知った言葉であり、毎朝これを見かける度に色々と考えさせられる。このお寺は1~2ヶ月ごとに新しい言葉を掲示するので、その更新がまた、ささやかな楽しみの1つだったりもする。そんな感じで、日常に新しい光が差し込むように、これからも「新しい目をもつ」ことに、それとなくチャレンジしてみたい。

 

(40分)