子供の名付け

娘の出生を間近に控えた今年6月、初めての子供の名前について考える中で、自分は名付けに関する基本的な考え方をいくつかのポイントに整理するに至った。それらは「こういうふうにしないこと」という禁則事項が中心となっているが、名前の本来の役割をきちんと突き詰めた上で、子供が一生付き合うにふさわしい名前の在り方について明らかにしており、我ながら説得力のあるものとなっている。今後周りから命名のことについて訊かれたり、将来子供に尋ねられたりしたときに自分のスタンスを忘れないように、以下に記しておく。


<子供の名付けの際の留意事項>
①一般的に広く使われている名前であること名前は個人を識別する「記号」なので、強引な当て字や人名だと認識できないような漢字の使用など、いわゆるキラキラした名前は避ける。また、50年後、100年後でも大きな違和感なく使われているであろう、流行り廃りに影響されない普遍性を持った名前にする。


②読み方を間違えられにくいこと名前が人名を指す記号として通用力を持つようにするためには、名前の字を見て、読み方が容易に想像がつくこと(複数の読み方がないこと)が必要である。また、漢字の場合は、口頭で説明しやすく、正しく伝わりやすい漢字であることが重要となる。(例:「子供の名前は、太郎の「太」に、一番の「一」で「太一」です」)


③一般的な受け止めとして、字から性別が分かる名前であること記号としての名前の機能上、字から男女の判別がつくことも重要である。ただし、様々な可能性を鑑み、例え別の性として名乗ったとしても、違和感が大きくない(男女いずれの名前としても使用例がある)名前であることにも配慮する。


④文字数、画数ができるだけ少ないこと一般に自分の名前は人生で一番多く書く文字となるので、書く手間を小さくするために、文字数・画数があまり多くないことが望ましい。また、子供が小さいときから書けるように、できるだけ平易な漢字を用いることが望ましい。


⑤過大な期待を背負わせない名前であること親が子供の名前に「こうなって欲しい」という様々な願いを込めることは大切なことだが、自分が実現できなかった夢を託すような名前や、歴史上の偉大な人物にあやかった名前をつけると、子供にプレッシャーを与えることになりかねない。将来的にその願いが子供自身の希望と一致すれば大きな問題はないかもしれないが、生まれた時点では当然そんなことは分かりようもない。親ができない(できなかった)ことを子供に求めるのは、避けるべきだと考える。


⑥名字と合わせた音数が5または7であること名字を含めた名前を声に出して読んだときに、5音または7音であると、発音したときに日本語として語呂がよく、また他の人にも覚えてもらいやすくなる可能性がある。例えば、名字が3音なら、下の名前は2音、名字が4音なら、下の名前は3音だと、五七調になり語呂がよい。


⑦ニックネーム、略称を付けやすい名前であること分かりやすいニックネームをつけられるような名前、一般によく使われているニックネームがあてはまる名前であると、周りから呼んでもらうときに覚えてもらいやすいし、グループワークや外国人と接するときなど、自分からニックネームを名乗るときにも違和感を持たれにくい。自分自身の名前がニックネームにしづらいものだった(そのため、高校以降は名字を基にしたニックネームで呼ばれてきた)ことから、重要だと考えた。


⑧家族、親戚、友人の名前とできるだけ被っていないことニックネームも含めて、自分の身近な人達とはできるだけ重なっていないほうが色々と都合がよい。


以上を一言にまとめれば、わかりやすく、親しみやすい、飾り気のない素朴な名前が一番よい、ということになるだろう。もし命名について考えている人がいたら、考え方の一つとして参考になればと思う。

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