愛に時間を

夫婦の信頼関係を熟成させるには、何よりもただ「一緒に過ごす時間」を重ねることが大切である。それが、結婚してから今日まで、数限りない気持ちのすれ違いを繰り返し、お互いの心を痛め続けてきた自分たち夫婦の経験から、自分が得た教訓だ。同級生でも同郷者でもない、他人同士の二人が結婚したのだから、今までの人生で同じ時間を共有してこなかった分、余計に一緒にいることが重要になる。意図的に、毎日きちんと時間を確保しないといけないし、その時間は相手にしっかり向き合うことが必要だ。仕事だの趣味だのは、正直なところ後からでも出来るし、テキパキやって省略したり効率化することも出来る。だが、信頼関係を育むには、今この時間が最も大切だし、その時間やプロセスは切り詰められない。手抜きや不注意をすれば、必ず大きな精神的代償を支払うことになる。かといって、いつも傍にいることだけが正解ではなく、時には適切な距離を置いて見守ったり、何を言われてもじっと耐えたりといったことが正しい選択肢である場合もある。夫婦関係は、特に自分たちの場合、非常にセンシティブで難しいものだ。今、何が大事かを場面、場面できちんと見極められる確かな目と、それに向き合う誠意とが、問われている。