テープ起こし

土曜日かつ「春分の日」のため休日の今日は、朝から気持ちのいい晴天だったので、日ごろの寝不足を解消しつつも朝7時台にすっきりと目覚めることができた。こんないい天気の日には、シーズンの有終の美を飾るべく、山にスキーに出かけ・・・たい気持ちはやまやまだったが、あいにく仕事があったので、それはお預けとなった。そして、8時台から自室にこもり、PCを開いて始めたのは、会議を録音した音声のワープロソフトによる文章化、いわゆる「テープ起こし」の作業だった。


今日取り組んだのは、先週行われた会議の中で意見交換が行なわれた部分の書き起こし作業だった。音声の長さは全体で約2時間で、昨日のうちに半分のところまでは作業を終わらせていたのだが、上司から「今週中に」と釘を刺されていたので、残りの1時間分の作業をやむを得ず家に持ち帰って、この週末にやることになってしまった。PCで完結する作業なので、わざわざ職場まで来るほどでもないと思ったのが持ち帰った理由だった。自主的な休日出勤は近頃よくあることだが、仕事を家に持ち帰るのは、オンとオフの切り替えがあいまいになると思って、これまでしないようにしてきた。今回はとうとうその一線を越えてしまったわけで、これはよくないなとは思っていたのだが、実際やってみると、案外職場より効率よく作業ができて、そんなに悪くないということが分かった。


理由は主に2つあると思う。1つは、「静謐な環境で作業に集中することができたこと」だ。職場も、基本的には静かなのだが、周りで打合せや雑談が始まると音声が聞き取りづらくなるし、電話が鳴ったり人が声をかけてきたりすると、そこで一旦作業を中断しなければならなくなる。だから、自席での作業はどうしてもなかなか集中しづらいという問題があった。そうした問題が起こらないという点で、自宅は非常に優れていた。もう1つの理由は、「テープ起こし専用の音声再生ソフトを使用したこと」である。職場では、ウィンドウズのメディアプレーヤーで音声を再生しつつ、一太郎で文字入力をしていたが、音声の再生・停止のたびにマウスを操作して2つのソフトのウインドウを交互に切り替える必要があったし、数秒前に戻す操作がスムーズに出来ず、4、5秒だけ戻してワンフレーズだけ聴き直したいときに20秒、30秒前まで戻ってしまったりするという難点があった。これではとても効率的な作業は出来ない。そこで今日はネットで専用のフリーソフトを探し、NAVERまとめで上級者向けとして紹介されていた「おこしやす2」というソフトを使ってみることにした。これが大正解だった。このソフトの一番の特徴は、キーボードにより再生・停止が可能であることだ。任意のキーに、「再生・停止」「5秒戻す」「速度0.5倍」などの機能を割り当てることで、キーボードから手を離すことなく音声ファイルの操作が可能になった。これによりマウスを操作する煩わしさから解放され、作業も効率化した。自宅のPCに一太郎が入っていない(ビューアはある)ので、今日はワードで文章入力をしたのだが、自分は「Esc」に再生・停止機能を割り当て、「F2」に5秒戻す機能を割り当てた。これだと、ワードの編集の妨げにさほどならずにキーボード操作をすることができた(最初は「F1」に割り当てたのだが、ヘルプ画面が表示され編集の妨害要因になってしまった)。


これらの2つの理由もあって、今日の作業は昨日までに比べるとかなりスムーズに進行し、16時前に完了した。1時間分の音声をトータル4時間かけて打ち込み、書き起こされた文字数は11,800字ほど。昨日作った分と合わせると約21,700字となり、ページ数はA4で18枚にも及んだ。昨日作業を始めた時は、遅々として進まず、「これ、終わるのか?」と気が遠くなるような気分に襲われたがゆえに、完成したときには心底ほっとした。単調で、労働生産性が低く割に合わない仕事ではあったが、書き起こした会議の発言が、結構考えさせられる、勉強になる内容だったので、知識として得るものはあったと感じている。完成したワードファイルは、16時過ぎにメールで上司に提出し、ミッションは無事コンプリート。テレワークみたいな感じで、これはこれで悪くないなと思った(もちろん、休日にやっていることを除けばの話だが)。うちの職場には在宅勤務制度がないが、採り入れてもいいんじゃないかと思うし、次回同じような仕事を振られたら、今度は「年休を取るから家でやらせて欲しい」と頼んでみようかと思う。また、一字一句書き起こす場合で、だいたい音声の長さの4倍の時間がかかることが分かったので、今後は仕事の所要時間のめども付けやすくなるだろう。ただ、手と目に負担の大きい仕事なので、今週のようにテープ起こしが3件も続くのはちょっとご勘弁願いたいところだ。今週の仕事はほとんどテープ起こしだったと言っても過言ではなかった。タイプ速度は自分でも割と速い方だと思っているが、それにしてもこんな仕事ばかり集中して振られるのは、ちょっと精神的にも参る。


宿題が土曜日のうちに片付いたので、明日はのびのびとスキーに出かけられるだろう。来週に控えている仕事の絶望さ加減には、あと1日だけ目をつぶっていたい。

(80分)