回想

夜、ふとしたきっかけで2008年の古い日記を読み返したら、思いの外おもしろくて40分ほど読みふけってしまった。昼まで寝ていたりニコニコ動画を深夜まで視聴したり1日一食しか食べない日があったりするほど自堕落で、S君やK氏と毎日のように付き合っていて、自分に自信がなく過去ばかり振り返っていて、でも単位を取るためにそれなりに頑張っていた大学3年生の日々。当時のありのままの姿がそこには生き生きと綴られていて、純粋に文字だけの記録にも関わらず光景がはっきりと思い出されたのだった。当時はまだ精神的にも経験的にも相当に未熟で、どうでもいいようなことに並々ならぬエネルギーを注ぎ、ちょっとしたことですぐにくよくよ悩み、かなりバカバカしいこともしていたと思うが、それも時を経た今となっては微笑ましく、懐かしい思い出だ。当時は自分のことが嫌で嫌で仕方なかったが、そこで人生を諦めずに回り道しつつも前に進んだことで、今の平穏で満ち足りた日常を実現できた。無能感に支配されていたあの当時からはまるで考えられないくらいに、今の自分には健全な自己肯定感がある。日記を読んだことで、そうした時間の流れの重みを実感し、過去はムダではなかったということを再認識したのだった。自己の連続性を確認し、過去にその当時は感じられなかった意味を与えるという観点で、日記を書くということは長い目で見て非常に大きな意義のある行為だ。そしてそれを読み返し自分がしてきたこと、考えてきたことを確かめることで、個人のアイデンティティーはより強固で自立したものになっていく。日記を書くことを疎かにしては、未来の自分に対して申し訳が立たない…そう思って襟を正した出来事だった。

(30分、携帯)