匙は投げられた

「Pray for Japan」というのは、ようは「地震によるこの甚大な被害には、もうどうにも手の施しようがないから、我々は匙を投げます。日本国のご冥福をお祈りします」っていう世界からのメッセージなんじゃないか・・・と、ひねくれ者の自分はつい穿った見方をしてしまう。口先ではどんなことにきれいごとを言ってても、日本の株式相場は現に暴落して、サプライチェーンの断絶で経済は混迷の一途をたどっている。自分からしてみれば、株式市場の反応のほうが、裏表がない分、よっぽど素直だと感じられてならない。この期に及んでまだ、日本は世界から評価されている、実は世界で大きなプレゼンスを発揮していると考えるのは、自分からしてみれば楽観的に過ぎる。津波被害は防げず、原発は爆発し、放射性物質は漏えいし続けている。もはや日本の安全神話は著しく揺らいでしまったと考えざるを得ず、日本に対するポジティブなイメージ、あるいは日本という国の商品価値は、大きく損なわれたと考えるほうが自然である。今は日本が世界経済の中で機能不全に陥ったことで世界が影響を受けているから、日本を何とか復帰させないとという動きがみられるが、これが長期化すればするほど、世界経済は日本に依存しない形での経済関係を構築・強化していき、やがて日本は世界の経済活動の中から切り離されることになる。国際社会、世界経済というのは、義理人情でお互い仲良く助け合うような生易しいものじゃない。究極的には経済的な利害関係のみに依拠していると言ってもいいくらいに、極めて冷徹で現実主義的な世界なのである。経済復興のためには、経済活動による裏付けが不可欠である。一刻も早く、世界経済の一員として復帰しないことには、日本は国際社会におけるイスを恒久的に失うことになるだろう。我々は今、その瀬戸際に立たされている。

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