グレード

さっき知ったのだが、自分の車には横滑り防止装置(DSC :Dynamic Stability Control)というものが装備されていない。てっきりついているものとばかり思っていたが、カタログを改めて引っ張り出して読み返してみたら、1500ccのアクセラにはついていないということだった。アクセラは2000ccと1500ccとがあるが、メインのグレードは2000ccであるため、1500ccはそれに比べて装備がかなり絞られており、機能的には貧弱な印象を受ける。DSC以外にも、例えば、この車の一番の目玉とも言えたアイドリングストップ機能「i-stop」がつかないし、車体側面のエアバッグや、キーを挿さずにボタンを押すことでエンジンを始動出来る「プッシュボタンスタートシステム」も標準装備されない。グレードが落ちれば、インテリアが安っぽくなるのは当然としても、エアバッグやDSCのような万が一のときの安全に関わる機能については、全車に標準装備するのが当然なのではないだろうか。生命を守る機能にグレードによる差を設けるのは、まるで1等客室の乗客から優先的に救命ボートに乗れたタイタニック号みたいで、時代錯誤な感を禁じ得ない。「国土交通省、横滑り防止装置などを2012年から義務化へ」というニュースが今日流れたが、これもやや遅きに失した感が否めない。もう少し早く通達を出して、2010年3月から全車搭載することを義務付けていれば、自分の車にもついていたのに・・・と思うと残念でならない。


2000ccと1500ccのグレード間で、これだけ大きな差があるわけだが、その代わりに価格面でも前者のほうが40万円ほど高くなっている。自分が1500ccを選んだのは、車体が相対的に安いことと、1500ccだから燃費もよかろうという予想をしていたことが大きな理由だった。しかし、JC08モードでの燃費は2000ccが14.8km/L、1500ccが15.6km/Lと顕著な差はなく、現実の燃費は現在14.3km/L前後と低迷している。これでは、1500ccのグレードで2000ccより優れている点などCVTくらいしかないのではないだろうか。今になってこうした現実を踏まえてみると、あと40万円自腹で払ってでも、2000ccにすればよかったかなという思いが浮かんでくる。


しかし、自分にとって最初の車でグレードの高いものを選び、それも家族に買ってもらうなどというのは、驕りと甘えの度が過ぎているとも言える。安月給の身なのだから、あまり高い車に乗るのは不相応というものだ。それに、昔言われたという「いつかはクラウン」ではないが、年を重ねるにつれてだんだん高いクラスの車にシフトしていくというのも一つの愉しみ方であろう。現状では、機能面・性能面でのわだかまりも感じている訳だが、次の車を買う時にそれらが解消されるグレードを探すことは、車を買うという行為にともなうワクワク感を高めることにつながる。慎ましやかな現状の生活に満足していて、お金があっても欲しいものが見つからないほど消費意欲の弱い自分において、「今よりいいものがある」と明確に信じられ、それを欲しいと思えることは珍しいことだし、ある種幸せなことだとも言える。次の車を買うとすれば、どんなに早くても10年後ということになるが、その時に期待を膨らませる余地を残しておけるのだと肯定的に解釈して現状を受け入れたいと思う。


まあグレード的には下がるとしても、自分が乗っている車がアクセラであることには全く変わりないし、アクセラを自分の愛車として好む気持ちは揺るぎないものだ。10年後、電気自動車やプラグインハイブリッド車などがどれだけ躍進しているかは全く想像がつかないが、その時代にもアクセラが今のようにスポーティな車として確かな存在感を示していてくれるよう願っている。

(65分)